冬農業、まだ見ぬ実りのために。剪定と藁まき〜ぶどう編〜【古郡果樹園】

ぶどう

皆さんこんにちは!
古郡果樹園でございます。

前回の投稿では2020年を振り返り、2021年の向けて投稿しました
こちら

このところ寒気に覆われる日が続き、本格的な冬がきたなと実感しています。
風邪をひかないように皆さんお気をつけてください!!!!

私たちはしっかりと防寒対策をしながら、寒さに耐え、次の収穫に備え活動をしています。

目次

実はこの冬が大事なんです!

ぶどうやプラムのシーズンは夏や秋ですが、この冬ももちろん重要な作業があります。
いわゆる冬農業です。

この冬にしっかりと次のシーズンの土台作りをしないと、
満足いくフルーツはできません。

スポーツ選手がシーズンに向けて、体作りやオフトレーニングを行うのと同じですね。

今日はこの冬農業の中でも特に重要な剪定藁まきについてご紹介いたします。

ぶどうの剪定!房は新梢に付く!

まず初めにぶどうの剪定について書いていきたいと思います。

なぜぶどうの選定をするのか、
一番の理由はぶどうの房は春から伸びた新梢に付くからです!

意外かもしれませんが、今ある枝や木からぶどうの房はなりません。
もう一度言います、春から伸びた新梢(新しい枝)にぶどうの房はなります。

房をより多く作るためには、新梢が伸びる余地を作ること、そのスペースを作ること、栄養を集中することが必要になります。

そのためにここまで伸びてきた木や枝を切っていくわけです。

そう、「房のためにスペースを作る」そう考えてもらって構いません!

この他にも剪定による効果はたくさんあります。
例えば、
・木の栄養を集中させる
・枝の伸びる方向を決める
・風の通りをよくして病気に強くする(換気効果)
・病気に弱い木を切り落とし対策
・勢いのいい枝を残し弱い枝を切り、生長を促す(主に1年目の木)
・棚に結びつけるため樹形を整形(主に2年目の木)

などなど…。

このように剪定は美味しいぶどうを作るために大切な作業になります。

剪定の方法を説明!(ぶどう)

次にぶどうの剪定についてご紹介いたします。

剪定の方法について説明したいのですが、説明が難しい!!!!!

これは経験が必要だからです。
してぶどう品種や木の特性、何年目の木か、成樹の具合はどうか、さまざまな条件の中で切る枝、残す枝を決めるため、一概には言い切れません。

今回は一般的な基準について書いていきます。

剪定前の畑の様子です。
枝やつるが伸び放題です。
この枝に房がついていたのですが、来シーズンのために感謝しながら切っていきます!

剪定の時期は?

主に剪定は1月中に行います!

収穫が終わり、葉っぱが落ちた1月が剪定の適切なタイミングです。

理由は

  • 葉っぱがないため剪定がしやすい
  • 枝のバランスが見やすい
  • 木の成長が止まっているためダメージが少ない
  • 切断面から樹液が漏れ出さない

などの理由から1月が好ましいとされています。
もちろん12月や2月になっても構いませんが、古郡果樹園としては木へのダメージを最小限におさえるため1月中に剪定を終えてしまいます。

2月3月になると木が活動をはじめ、木への負担が大きいです。
また樹液が漏れ出すと身のつき方や発育への影響、病気に弱くなるといったことが懸念されます。

ぶどうにとってストレスになります。
人間もぶどうもストレスが一番天敵ですからね…。

品種による剪定の違い

次に具体的にどこを切って、どこを残すのか、説明していきます。

品種や生育年数によって剪定は様々です。
まずは品種による違いから。

ぶどうは品種によって枝の成長スピードや勢いが異なります。

例えばシャインマスカットは成長が比較的緩やかです。
そのため剪定の方法としては、枝にいている芽の数を2個か3個残し、残りを切り落とし、短い枝をいくつも作ります。

これを短梢剪定といいます

これは成長のスピードが緩やかなため、一つの芽や枝に栄養を集中させる必要があり、
栄養を貯めるためると実がつきやすく美味しくなるからです。

それに対し、成長のスピードが早いピオーネや巨峰などは、枝についている芽を5個から10個ほど残し、残りの枝を切り落とします。
これを長梢剪定といいます
実に栄養を集中させるため、枝を短くしたほうがいい、芽を多く残した方がいいと思ってしまいそうですが、逆に栄養が多いと、枝を伸ばす方に栄養を使ってしまい、ぶどうの実がうまくつかない現象が起きます。

年数による剪定の違い

次に年数による違いを説明します。

1年目は成長を促すのが目的です。
そのため成長がいい、勢いがある枝を残し、弱い枝を切っていきます。
この時注意することは真っ直ぐ整形することであまり強く剪定は行いません。

2年目は整形を意識することが目的です。
ぶどう棚に誘導し意図する方向に整形していきます。
枝を誘引し不要な枝やつるを切ります。

そして3年目以降は本格的な剪定に入ります
この時に上記でのべた特徴別の選定を行うために木を選定します。

原則は原則。例外もある。

しかしこれは原則です。
例えば木によって同じ品種でも成長のスピードは異なります。
その時は臨機応変に枝の長さや芽の数を調整します。

また、芽がひとつもない枝もあります。
その時は隣の枝から借りてきてスペースを埋め対応します。

また日当たりや風通しを配慮したりと影響する条件は様々です。

要するに、木一本一本と向き合って、畑と相談して、形を整えていく。
それが必要になります。

剪定で注意するポイントは?

次に剪定で注意するポイントについて解説します。

すでに上記でいくつかポイントはあげているのでその他に必要なことを。

まずは思い切りが重要です!!!
最初は心配になり遠慮して剪定してしまいます。
しかし最初でも述べましたが、ぶどうは春から伸びた新梢になります。
遠慮はぶどうにとったらかえって迷惑なのです!
美味しい葡萄を作るためには思い切りが必要なのです。

つぎに切断する場所です。
これは芽と芽の間の節を切ります。(犠牲芽剪定といいます)

ぶどうは枯れやすい植物です。
普通の植物の剪定では節の少し上をきりますが、ぶどうは節で切らないと断面から枯れてしまう恐れがあります。

そして道具ですが、剪定バサミを使いましょう。
スパッと切れて断面が綺麗なので病気に強く、かつ疲れにくくなります!

最後に一番大切なこと。
それは木としっかり向き合うこと。
成長の具合、勢い、病気の様子、年数などなど。

ぶどうの剪定まとめ

ぶどうの剪定については以上です。

剪定はプロでも難しい作業です。
しかしとっても大切な作業であります。

剪定が収穫されるぶどうの品種に大きく影響を与えます。

収穫の時になってようやく剪定の答え合わせができる。
まだ見ぬ実のりのために、じっくり作業していく。
そのしたたかさが一番必要なのかもしれません。

剪定後の畑です。
この木はピオーネですので、上記の通り原則通り、枝を長めに目を5から10個残し切っています。

藁まき!寒い冬を乗り越えるために。

次に藁まきについてご紹介いたします。

藁まきは寒い冬を越すために重要な作業です。

私たち古郡果樹園では、藁まきを2パターン行います。
1つ目は地面に藁をまくこと(藁を地面に敷く)
2つ目は木に藁を巻くこと

それぞれ解説していきます。

地面に藁をまく!

まず地面に藁をまく(敷く)藁まきから解説していきます。

地面に藁をまく理由は、

  • 地温の調整(寒さ対策)
  • 水分の蒸発を防ぐ(特に冬は雨が少なく乾燥するため)
  • 雨による土壌の浸食防止
       (冬はオフシーズンのため畑に行く機会が減り変化に気づきにくい)
  • 肥料の流出防止
  • 藁自体が肥料となる

などです。

実際この藁まき(藁敷き)は一年を通して行います。
この冬を行う目的の主は、寒さ対策と水分調整、
そして一番の目的は冬に巻いておくと収穫が近くなる夏や秋に肥料と変化し栄養になるからです。

またシーズン中行藁まき(藁敷き)は藁を束のまま敷きます。
それは地温の調整や水分の蒸発を防ぐ効果、雨による土壌の浸食を防ぐ効果などを期待して行うからです。

しかし冬行う藁まきは主たる目的が肥料になることへの期待であるため、束のまま巻きません。
裁断機にかけ、細かくして畑にまきます。

第一回目の藁まきはまだ葉っぱが落ちきらない冬の前に行いました。

冬の間に何回か行いますが、葉っぱが落ちたらそれも裁断機にかけ同時にまきます。
これが良質な肥料となります。

畑に綺麗に敷いていきます。
もし風が強かったり待ってしまう恐れがある時は上から水をかけたりもします。

これが冬や晩秋に行う藁まきです。

木に直接巻く、藁巻き

次に木に直接藁を巻く、藁巻きについて解説していきます。

地球温暖化といえ、山梨では冬の寒い時期になると−5℃を下回る日が続きます。

ぶどうにとってここまで寒いと凍害の恐れあります。
代表的なものとして根頭がんしゅ病などがあります。
この病気、非常に厄介なのが、まだ有効な薬剤防除法が確立していません!

このような恐ろしい病気の原因である凍害を引き起こさないように、
防寒対策としてぶどうの木に藁を巻きます。

ぶどうの木がコートを着るイメージです。

しかし実際はぶどうの木の本数が多いため全てに藁を巻くことは厳しいですが、
特にまだ3年にも満たない幼い木は寒さに対する耐性が低いため、藁まきは必須です。

また藁をはずすタイミングを間違えてはいけません。
1月2月はぶどうの木が休眠しているため、凍結の耐久性が高いです。
しかし3月になると、ぶどうの木は休眠から覚め活動を始めるため耐久性が一気に下がります。
この時寒さに慣れていなかったり遅めの寒波に覆われると、凍害の恐れが発生します。

最後にまとめ。

今回はオフシーズンの活動、冬農業についてご紹介、解説いたしました。

主に活動は2つ。
1つ目が剪定
2つ目が藁まきでした。

ぶどうは新梢につく!
このために枝を切り、畑全体や木をコーディネートする。

プロでも難しく、経験が必要な剪定ですが、原則は基本に忠実に、品種ごと、年数ごとに変えていくことです。

そして藁まきは2つありました。
地面にまく藁まき(藁敷き)と木に巻く藁まきです。

どの作業を秋の実りに向け重要な作業でした。
寒さに耐えながら地道に10ヶ月近い将来のために備える。
その地道さや根気強さが冬農業において一番大切なことです。

今回はこの辺で。
次回はプラム(貴陽)の冬農業についてご紹介いたします。

コロナに負けるな!
寒さに負けるな!
みんなで冬を乗り越えましょう!

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@fruit garden.furugoori

それでは!

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